8月号

司祭のことば 今月の予定 ご報告 その他

司祭のことば
「小さき方々」からいただいたキリスト様との出会い


 昨年の6月初めから今年2月末までの9ヶ月間、私はメキシコシティのグアダルペ神学院に滞在していました。その9ヶ月間、毎日曜日は、神学校時代の同級生で今はグアダルペ会の総長顧問をしているエミリオ神父様に同行して、神学院から車で40分ほど離れたSAN MIGUEL TOPILEJOという所にあるシスターが運営する女性障がい者の養護施設でミサを共同司式していました。
 そこの養護施設に入居している100名ほどの女性は、小学生くらいから80歳を超えた老人まで様々な年齢の体に障がいを持ち、また知的障がいのある方も多く入居しています。ところで、メキシコでは国からの補助がほとんどなく、カトリック信者の篤志家などの寄付によって運営費をまかなっています。そしてメキシコでは、障がい者を受け入れる施設は日本より少なく、そこの施設には親から見捨てられた方々も数多く入居されていました。ほとんどの方が一生涯をその施設で過ごしていました。
 さて、その施設での主日のミサでは、一人のシスターがギターを弾き、10人ほどの方々が打楽器などを使って、みんなが歌うために奉仕していました。その中には、指先しか動かない寝たきりの方や、まだ小学生くらいの車椅子の子供や、時々大声を出す方がそれぞれの楽器を弾いたり、叩いたりしていました。それはハーモニーという点では全くそろってはいませんし、不協和音そのものですが、ミサに参加している仲間の方々と一体になってイエス様を賛美しているという「心のハーモニー」は、ミサで素晴らしい歌声を奏でる立派な教会のミサにも劣らない感動を毎回与えてくれていました。
 その感動をいただいていた私はスペイン語が話せませんので、ミサではただエミリオ神父様の横にいて祭壇周りのことを行い、共同司式者が唱える箇所を唱えているに過ぎませんでした。そして、エミリオ神父様の説教はミサに来ている入居者によく質問し、それにみんなが元気よく答えるというような会話をしながら説教していました。しかし、私はその内容が分かりません。みんなが笑ったり、大きな声で答えても何も分からず、自分だけ言葉が理解できない「障がい者」というようなことを感じていました。
 そのような状況で9ヶ月が過ぎ、私のメキシコ滞在最後の主日ミサが同じように、そこで行われました。ミサの初めに、そのミサ中に個人の祈りを頼まれた何人か名前がエミリオ神父様によって読まれた中に、私の名前もありました。そして、いつものようにエミリオ神父様の説教が終わり、エミリオ神父様は一人ひとり全員に共同祈願をしてもらうようにその人の近くにまで歩き回るのですが、その中に何人かの方から「PASCUALITO」という声がして、自分のことを祈ってくれているのだと分かりました。「PASCUALITO」とは、私の霊名のパスカルを親しく呼ぶ「パスカルちゃん」というものでした。何人かの方は、来週日本に帰国する私のことを涙しながら祈ってくれていました。その祈ってくださる姿に、私も涙がこぼれました。
 そして、ミサの終わりに、私は9ヶ月間一緒に御ミサができたことの感謝の言葉を通訳してもらってその方々に伝えました。私からの話の後に、入居者の方々が作られたという毛糸のマフラーと手縫いの刺繍の敷布をプレゼントされました。自分としては、皆さんと庭で挨拶程度を話すくらいで、そう親しくしていたという実感は持っていなかったので、何かプレゼントされるということも考えていませんでした。そんな私に、自分たちで編んでくれたマフラーと手縫いの刺繍のテーブル用敷物をプレゼンとしてくれました。
 一人の日本人の神父である私に対するその方々の思いと姿に、「言葉が通じない障がい者」という自分の定めた地平、思いからしか、その方々との交わりを感じていなかった私の心は激しく揺り動かされました。
 私はただエミリオ神父様に付いていって、そこでミサを一緒にさせてもらったに過ぎなかったのです。しかし、そこの入居されている方々は、私が日本に帰るので来週から来ることができないということに涙し、「ありがとう」と言ってくれました。この日本語の「ありがとう」は前の週にエミリオ神父様の代わりに、グアダルペ会のラウル総長様がそこのミサに行かれたとき、皆さんに教えたものでした。
 さて、その日の第1朗読は、シラ書で知恵のことが語られました。知恵とは何でしょうか?
そこの養護施設の人々は知的に障がいがあるから知恵がないと言えるのでしょうか?
ミサに毎週ただ付いて来ている一人の神父を、その方々は大切な人と思っていたのです。
それは毎週そこに来てくれる存在が自分たちを大切にしてくれていると受け取っていたのだろうと思うのです。
 それは、「知恵は、それに従う子らを高め、これを追い求める者を助ける。知恵を愛する者は、命を愛する者(シラ4:11-12)。」「知恵を愛する者は、主から愛される(シラ4:14)。」という言葉から考えたとき、人は人から大切にされるという中に知恵を見い出し、人を大切にする心を養い、その知恵に生きるのではないでしょうか。だからこそ、「主から愛されるのです」。
エミリオ神父様の横に立つだけの神父が、神から大切なものを自分たちに伝える使者として、そこのミサに参加している障がいを持った人々は、私を愛おしく思っていたのでしょう。
私はそこまでの彼女たちの愛の大きさと豊かさを知りませんでした。
 マルコ福音書は、「わたしたちに従わないので、やめさせよう」とする弟子に、「やめさせてはならない(マルコ9:39)」とイエス様はおっしゃいます。わたしたちの思いは、人が示す神の知恵によって打ちのめされます。それは神を愛する人を神はご存じだからです。その神を愛する人々の前に立つことしかできない私たちも、その人々から愛を受け、知恵を受けることができるのでしょう。イエスの名は、神の知恵であり、どのような苦しい悲惨な状況の人々や障がいがあるすべての人々を希望へと導く救いの光であることを、私たちはその人々との交わりで教えられてゆくのでしょう。
 知恵は、人々の中に共に生きることから受ける些細な出来事の中に、隠された神秘として気づくことも多々ありそうです。そして、私がその気づきに繋がるために、9ヶ月を過ごしたメキシコでの日常の日々が、十字架に付けられたキリスト様との出会いのその瞬間を準備させてくれたのでしょう。
 このことを司祭生活25年過ぎて、私に教えてくれたのは、異国に住む障がいを持って人生を歩み、私のような異邦人をも受け入れ、愛し、涙する「小さき方々」でした。それは、キリスト様の十字架とともに日々を過ごす「小さき方々」でした。
 そして、キリスト者としての日常の他者との交わり、特に小さき人々との交わりの中で、私たち人間一人ひとりの闇を救う主の光を見出すことができると、私はあらためて確信を持てるようになりました。
 私はその確信を持って、この目黒教会の信仰共同体が、これからも自分たちの地平・思いの保持ではなく、十字架に付けられた主イエス・キリスト様の地平・思いに立ち戻るというカトリック信仰の本質を歩み続けながら、この信仰共同体が東京教区から与えられている特別のミッションを誠実に果たすことができるように、東京教区大司教様から遣わされた主任司祭として司牧してゆく決意でおります。
 目黒教会の教会報「お知らせ」の6月号、7月号、そしてこの8月号で、私はメキシコでの9ヶ月を通して十字架に付けられたキリスト様を受け入れる歩みを総論のように述べさせていただきました。これからは、メキシコ滞在中に訪れたキューバ、ペルー、カリフォルニア・ミッションのサンディエゴなどの地のカトリック信仰の様子を皆様に伝えたいと思っております。
主任司祭  宮下良平   

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今月の予定


病者と共に捧げるミサ   8月 3日(土)
 毎月第1土曜日、11:00から小聖堂にて
一粒会献金   8月 4日(日)
 今月は4日、第1日曜日のミサ献金の半分を神学生養成のための一粒会献金といたします。ご協力ください。
神学生養成のためのロザリオの祈り   8月 4日(日)
 8月4日(日)10時のミサ後
 第1日曜日10時のミサ後に一連唱えます。目黒教会出身の宮ア神学生のためにも祈ります。
先唱者とりまとめ:オリーブの会 
聖母被昇天の祭日   8月15日(木)
 ミサは7:30(日本語)、10:00、19:00(日本語・英語)
平和旬間2019   
「平和を実現する人々は幸い」
平和を実現する人々は幸い
2019年8月6日(火) 〜 15日(木)
平和旬間2018にあたって
 1981年、教皇ヨハネ・パウロU世は広島の地で「戦争は人間の仕業です。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です。」と訴えられました。この広島での平和アピールにこたえて日本の司教団は平和旬間を定めました。広島に原爆が投下された8月6日から8月9日の長崎の原爆投下をはさんで太平洋戦争敗戦に至る8月15日までの10日間を、とりわけ平和のために祈り、平和について学び、行動する期間としています。
 ※詳細はパンフレットまたは掲示板をご覧ください。
平和旬間講演会  〜私の広島原爆体験談〜   8月11日(日)
     講演者:水木愛子さん(96歳)
     日  時:8月11日(日) 11:30より
     場  所:アンセルモホール
 今年の平和旬間では、広島で被爆体験をされた水木愛子さんに、その時の様子を語っていただき、私たちの身近におられる方から、広島の惨状のことを直接聞き、戦争を絶対してはならないという決意を新たにして行きたいと思います。
   ※詳細はポスターをご覧ください。
    
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ご報告

 
ご報告
 6月23日、聖ペトロ使徒座への特別献金195,220円は7月8日大司教館へ送金いたしました。ご協力ありがとうございました。
報告とお願い  宮下神父
 7月21日(日)の「コーヒー・サンデー」の時間に、14日の司牧評議会で提案された「小さいお子さんがいらっしゃる親御さんたちの集いの場」を初めて持ちました。
 3人の親御さんとお子さんが集まって楽しいひとときを過ごしました。
 今後、日曜日のミサに来られる子育て中の親御さんが、ミサ後に集まって子育ての思いを共有して、親同士、子供同士の交わりの輪を広めてゆこうという芽が出てきました。
 この新しく生まれつつある若い親御さんとこどもたちの交わりの芽が大きく育ってゆけますように信徒の皆様も一緒に支援し協力してゆきましょう。
ビアパーティー報告
 今年も司祭館中庭で納涼ビアパーティーを7月21日(日)5時ミサ後に、日頃お世話になっているご近所の夕陽会(町会)、権之助坂商店街、下目黒一丁目町会、目黒学園カルチャースクールの方々などをお招きし総勢90名程で開催しました。なお準備は、コーヒーサンデーを中心とした有志が担当しました。

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その他

港・品川宣教協力体合同堅信式
 10月27日(日)菊地大司教司式のもと14:30より高輪教会でおこなわれます。すでに中高生の該当者、成人で2015年以降受洗の該当者には案内要項を送付いたしました。その他の希望者には聖堂うしろに申込用紙を置きますので、必要欄をすべて記入の上7月31日までに主任司祭または事務所に提出ください。締切日厳守です。
B地区のみなさまへ
 8月3日(土)9時30分よりB地区担当の聖堂掃除があります。暑い時期ですがよろしくお願い致します。
B地区委員 
D地区のみなさまへのお知らせ
○7月7日の地区集会出席者、10名
「人生の実りに感謝する集い」の対象年齢と、準備に関わる負担について話し合いました。
●対象年齢については、楽しみにお待ちになっている方々もおり、現状のまま75才でよい。
●準備での負担に関しては、皆様お話を楽しんでおられ、普段と違いゆっくりおしゃべりできることがなによりのご馳走にお見受けいたします。
量は少なく、手作りもあったほうがよい。
地区ごとに状況、事情が違いますので、一律にせず地区におまかせしては、とのことでした。
ただし、近年パーティーの料理が華美であり競争しているようで、地区委員を以前に経験なさった方のご意見の中に、ご家族総出で夜遅くまで用意なさって疲れはてたとの声もありました。
今回のことを踏まえて、来年の新年会を準備させて頂きます。
少人数でしたが、皆様の忌憚のないご意見を伺うことができ、有意義な集まりになりました。
○今後の地区当番予定
●10月5日(土)9時30分〜聖堂掃除
●2020年1月12日(日)「新年会・新成人の祝福会」の会場づくりと料理担当です。
D地区委員 
オリーブの会よりお知らせ
 病人・高齢者の訪問
 ご病気やご高齢のため教会に来られない方の訪問・お便りによる交流をしております。ご希望の方は、教会事務所までご連絡ください。
 交通費などのお心遣いは必要ございません。
東日本震災支援プロジェクトより
 福島やさい畑 復興プロジェクト
次回の野菜販売は8月18日(日)8:30から
ご協力よろしくお願いいたします
教会のメールアドレスが変わりました
教会宛は official@catholicmeguro.org
お知らせ原稿など、広報宛は  koho@catholicmeguro.org です。

受洗 1名 転入 2名
結婚 転出 1名
帰天 1名   住所・その他変更 3件
詳細は、お知らせ8月号(印刷版)をご覧ください



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